ここまで保険料を払ってきたから、今やめるのはもったいない気がして…
保険の見直し相談で、この言葉を聞かない日はほとんどありません。
特に、積立て型保険や貯蓄性のある保険を長年続けてきた方ほど、
損を確定させたくない
という気持ちが強くなります。
しかし、感情をいったん横に置いて数字で見てみると、
別の選択をした方が安心につながる場合もあります。
それでも、多くの方が決断できない理由。
そこには、人の心理が大きく関係しています。
① ジム・習い事の例
入会金を払って、数か月通ったジムや習い事。
最近ほとんど行っていないけど、ここまで払ったから、
やめるのはもったいない…
そう思って、使っていないのに会費を払い続けてしまう。
でも本当は、これから使わないなら、過去に払ったお金とは関係なく、
今やめた方が家計は楽になります。
②旅行の例
楽しみにしていた旅行。
でも、出発直前に「体調が悪い」「天気が悪そう」と分かった。
本当はキャンセルして休んだ方がいいのに、
お金を払ったから…
キャンセル料がもったいないから…
と無理をして出かけてしまう。
このときも、判断を引きずっているのは、戻らないお金です。
なぜ人は「やめた方がいい」と分かっていてもやめられないのか
理由はとてもシンプルです。
- 今まで払ってきた保険料がもったいない
- ここでやめたら「損をする気がする」
- 間違った選択を認めたくない
これは、誰にでも自然に起こる感情です。
経済学では、これを「サンクコスト(埋没費用)」と呼びます。

結論:過去のお金と、未来のお金は分けて考える
すでに支払った保険料は、どんな選択をしても戻ってきません。
つまり、過去のお金は、未来の判断材料にしてはいけないのです。
本当に考えるべきなのは、
- この先、いくら払うのか
- この先、そのお金はいくらになるのか
- 今後の選択肢の中で、どれが一番良いか
という「未来のお金」だけです。
FP相談でよくある積立て保険のケース
例えば、こんなご相談があります。
- 毎月の積立金:1万円
- 払込期間:30年
- 運用利率:年0.5%の円建て保険
この保険に、すでに15年間支払い続けてきたとします。
これまでに払った金額
1万円 × 12か月 × 15年= 180万円
15年経過時点で解約すると、
- 解約返戻金:約126万円
(※払込総額180万円の約70%)
つまり、👉 約54万円は戻ってこない
この数字を見ると、
ここまで払ったのに、やめるのはもったいない…
と感じるのは、とても自然なことです。
この戻らない54万円こそが、サンクコスト(埋没費用)です。

では、このまま続けるとどうなる?
この先も同じ保険を続ける場合、
- さらに15年間
- 毎月1万円
- 追加の払込額:180万円
を、年0.5%で運用し続けると合計金額は約388万円(支払額360万円)
元本割れはしにくいですが、
大きく増えることも期待しづらい運用です。
視点を変えて「これからの15年」を考える
ここで、考えてほしいポイントがあります。
もし今解約して、
- 解約返戻金:約126万円
- 今後払う予定だった保険料:月1万円
これらを、年5%で運用できる商品に回せたらどうなるでしょうか。
年5%で15年間運用できた場合
仮に、
- 解約返戻金126万円
- さらに毎月1万円を15年間積立て
これを年5%で運用できた場合、15年後の資産額は約521万円前後になります。

これは、
- 元の保険をそのまま続けた場合
- 解約時に「損した」と感じた54万円
を十分に取り戻せる可能性がある金額です。
ここで大切なのは「過去」ではなく「未来」
多くの方が気にしているのは、
「今やめたら、54万円も損をしてしまう」という過去のお金です。
でも本当に考えるべきなのは、
👉 これから15年間、お金をどこで、どんな働かせ方をするかです。
過去に払った180万円は、
どんな選択をしても戻りません。
だからこそ、そのお金は「サンクコスト」として受け止め、
これからのお金を、より良い環境に移すという考え方が合理的です。
「サンクコスト」という言葉がもたらす変化
「その時の自分なりに、ちゃんと考えて選んだんですよね」
このように伝えると、多くのお客様の表情がふっと和らぎます。
大切なのは、過去の選択を否定しないこと。
その時は、その時でベストだと思って選んだ。
だからこそ、今は今の知識で、より良い選択をすればいい。
この考え方を共有できると、見直しは「後悔」ではなく
前向きなアップデートになります。
FPが大切にしていること
保険をやめる・続けるは、正解が一つではありません。
でも、「もったいないから」という理由だけで不利な選択を続けてしまうのは、
本当にもったいないことです。
お金は、感情と切り離すのが難しいからこそ、
第三者であるFPが一緒に整理する意味があります。
よくある質問(Q&A)
- サンクコスト(埋没費用)とは何ですか?
-
すでに支払ってしまい、今後どんな選択をしても戻らないお金のことです。
保険料や習い事の月謝など、「もったいなくてやめられない」と感じる支出に多く見られます。 - 「もったいない」と感じても、保険は見直した方がいいですか?
-
今後も必要な保障かどうかで判断することが大切です。
過去に払った保険料ではなく、これから支払う金額と得られる保障で考えましょう。 - 保険を解約すると、本当に損になりますか?
-
解約返戻金が払込総額を下回ると、損をしたように感じます。
ただし、今後の保険料負担を減らせるなら、長期的には得になるケースもあります。 - 積立て保険は、途中解約しない方がいいですか?
-
必ずしもそうとは限りません。
利回りや家計への負担を考えると、他の運用方法が向いている場合もあります。 - サンクコストに引っ張られずに判断するコツは?
-
「今から新しく加入するとしたら、同じ保険を選ぶか?」と自分に問いかけてみてください。
この視点で考えると、感情を切り離しやすくなります。
その保険、守っているのは「過去」ですか?「未来」ですか?
今の保険が、
- 未来の安心につながっているか
- これからのお金を、きちんと増やしてくれるか
一度、立ち止まって考えてみてください。
「やめるか・続けるか」ではなく、「これからのお金を、どこで働かせるか」。
その視点に立てたとき、選択はずっとシンプルになります。
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家計管理、貯蓄、保険の見直し、老後資金など、
お金の悩みはご家庭ごとに状況が異なります。
インターネットの情報だけでは
「自分の場合はどうなのか」が分からず、不安が解消されないことも少なくありません。
当事務所では、ファイナンシャルプランナー(FP)が一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、
家計全体を整理したうえで、今後の方向性を分かりやすくご提案しています。
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