「今は困っていない」という安心感
お金に関する個別相談を受けていると、いちばん言葉が届きにくいと感じる相手がいます。
それは、独身で、特に保険にも入っていなくて、しかも今の生活に不満がない人。
年代を問わず当てはまりますが、実際に私が出会ってきた中では、特に働き盛りの30代半ば〜40代後半に多い印象があります。
仕事も順調。趣味も楽しめている。
貯金もそれなりにあり、「今を楽しめているから十分」と感じている。
その感覚は、とても自然だと思います。
未婚でも満足度の高い人生を送れる人が増えた今は、選択肢が増えた時代になった証拠でもあります。
だから「その考えは違う」とは思いません。
「今は大丈夫」は、いくつもの条件の上にある
ただ、ひとつだけ心に引っかかることがあります。
「今は大丈夫」と感じられる背景には、健康、仕事、そして家族の存在があることも多いからです。
後期高齢のご両親が今は自立して生活している。
兄弟姉妹の一人が同居して支えている。
家族全体を見ると、「うちはまだ大丈夫」と思える状況。
その安心感は、とても自然なものです。
でもそれは、いくつもの条件が重なって成り立っている”今”でもあります。
想定外は、ある日突然やってくる
もし体調を崩したら。
もし仕事を休まざるを得なくなったら。
もし親の状況が変わったら。
「困ったら貯金や投資を使えばいい」という考え方も、もちろん一つの選択です。
けれど、そのタイミングが相場の下落や収入減と重なったら、将来のためのお金を、いちばん苦しい形で使うことになるかもしれません。
自由だからこそ、自分を支える準備を
独身だからこそ、身軽。
でも同時に、支えも少ない。
結婚していないことが問題、という話ではありません。
ひとりの人生を自由に選べるのは、とても素敵なことです。
ただ一方で、大きなトラブルが起きたときに、日常を代わりに回してくれる”家族の手”が少ないのも事実です。
兄弟が支えてくれている今は心強い。
でも、その兄弟にもそれぞれの生活があります。
親は、今は元気でも、年齢とともに状況が変わっていきます。
「助けてもらえる存在」ではなく、「助け合う関係」でいたいと思ったとき、自分の備えは、家族との関係を良好に保つための備えにもなります。
今の安心を、未来にもつなげるために
保険に入るかどうかは別として、
「もしものとき、自分は自分を支えられるかな?」と一度だけ考えてみる。
その時間を持つことも、今の安心を大切にする一つの方法かもしれません。
あなたはどう思いますか。
今の安心は、10年後もそのまま続きそうですか。
Q&A 独身世代の方からよくいただく、ちょっとしたお金の疑問
- 貯金がある場合の備えって、どう考えたらいい?
-
貯金があるのは大きな安心材料ですよね。考えてみたいのは、「そのお金は何のために貯めたものか」という点です。
将来のためのお金と、突然の出来事に使うお金が同じ財布から出ていくと、後の計画が変わることもあります。
貯金で備えるのか、仕組みで備えるのか。正解は一つではありませんが、役割を分けて考えてみる価値はありそうです。 - 家族がいる安心感と、自分の備えのバランスって?
-
家族の存在は、気持ちの上でも大きな支えになりますよね。
ただ一方で、親は年齢とともに立場が変わり、兄弟にもそれぞれの生活があります。
「助けてもらう前提」ではなく、「できるだけ自分で立て直せる状態」にしておくことは、家族との関係を良好に保つための備えと考える人もいます。 - 投資を始めたばかりだし、保険より運用に回した方が合理的じゃない?
-
投資は将来のための大事な選択肢ですよね。
ただ、運用のお金は「増やす役割」、備えのお金は「減らさない役割」と考える人もいます。
もし収入が止まったときに相場が下がっていたら……と想像すると、役割を分けるという考え方も一つの選択肢に見えてきます。 - 独身なら老後資金だけ準備しておけば十分ですか?
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老後資金はもちろん大切ですが、それまでの何十年かを安心して過ごすための備えも同じくらい重要です。
病気やケガで収入が減る期間や、親の介護など、老後より前にお金が必要になる場面は意外とあります。
「老後」と「今から老後まで」の両方を考えておくと、より安心につながります。 - まだ元気だし、今考えなくてもいいような気がします。
-
そう感じる方は少なくありません。
実際、備えは「困ってから」では選択肢が限られてしまうことがあります。
元気で生活に余裕がある今だからこそ、自分に合った方法を落ち着いて考えられる時期とも言えます。
何かを契約することが目的ではなく、「自分はどんな備え方が安心できるのか」を一度整理してみるだけでも、大きな意味があります。
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